キャリアコンサルタントはどんな人が向いている?答えは相手の中にしかない話。

こんにちは、まほです。私は、今年の3月から国家資格キャリアコンサルタントの養成講座に通いはじめ、9月にようやく受験を終了したばかりのキャリアコンサルタントの卵です。

早速ですが、キャリコンを受けたことを話すと「どんな仕事?」「どんな人が向いているの?」という質問を頂きます。私自身、どんな仕事も、「続ける」ことで、向いている・向いていないが自分の中で徐々にわかってくるのものかな~?という考えがあるので、びしっと、「こんな人が向いていると思う!」という断言はできません。なので、今回はあくまで「講座内で行った具体的な傾聴のトレーニングの雰囲気」と、「もしかして、私はキャリコンに向いていないのでは?!」とクラスメイトと受講中に悩んだポイントを紹介することで、一つの参考になればいいなと思います。

目次

  • 私がキャリアコンサルタントを目指したきっかけ。
  • 「私、キャリアコンサルタントに向いていないんじゃないか?!」と焦りを感じる、「傾聴」の壁。
  • 結局傾聴って何をするの?キャリコンの役目とは?
  • まとめ

 

[キャリアコンサルタントを目指したきっかけ]

私自身がキャリアコンサルタントを目指したきっかけ。それは、①もともと人材の会社勤めで、人のキャリア形成について興味があったこと。②「カウンセリング」等、人の悩みを聞く仕事を通して、誰かの役に立ちたいと思ったこと。③自身の「結婚」と「夫の転勤」で、場所を選ばず働ける資格を取りたいと思ったこと。の3つです。

特に、「転勤についていきながら、自身の仕事を続けられるのか。」とか、「子供ができても、忙しい夫の協力が得られなさそう。本当に育てられるのだろうか。」とか、これからのライフ&キャリアの悩みが大きかったので、講座を受けることでキャリアの「考え方」の幅を広げることができ、この点は受講して本当に良かったと思うポイントの一つです。

一緒に受講していたクラスメイトもまた、それぞれのきっかけを胸に受講していました。「自身が転職する際に、キャリコンに手伝ってもらってい私もそうなりたいと思った。」とか、「職場の後輩が仕事に悩んでて、いいアドバイスができたら。」、「定年後、第二の人生のスキルとして。」など、皆それぞれの目標を胸に通学していたと思います。

[キャリアコンサルタントに向いていない!傾聴の壁]

ところが、受講の回数が進んで行き、何度も何度も傾聴トレーニングを積んでいくことで。「なんだか、私キャリアコンサルタントに向いていないかも?!」と戸惑うメンバーも増えていきました。(私ももれなく、その一人です!)

だからと言って、授業を投げ出したりあきらめると言うことではないのですが。「人が好き」「おしゃべりが好き」「会社で頼りにされ、問題解決をビシバシして来た。」相手の気持ちに共感しやすく、「その気持ちわかるよ~!」と共感できてしまう「良い人」ほど、コンサルタントの基本スタンス「傾聴」が、始めはうまく出来ず。壁にぶつかっていったのです。

[傾聴ってなに?キャリアコンサルタントって何をするの?]

そもそも、皆さんはキャリアコンサルタントというと、どんなイメージを持たれますでしょうか。

  • 転職に困っている人を、適職に導く専門家でしょうか?
  • 今の仕事が向いているかどうか、一緒に考えてくれるアドバイザーでしょうか?
  • 履歴書の書き方を、教えてくれる人でしょうか。

今、上げた例は確かにコンサルタントの仕事の一部ではありますが、すべてではありません。むしろ、キャリアコンサルタントに求められる一番大事で必須のスキルは、相手の話をとことん「聴く」こと。

決して、ライフ&キャリアの悩みの渦中にある人に、キャリコン自身の経験をもとにした「アドバイス」を、ガンガンすることではありません。

※もちろん、転職支援の営業よりの仕事や、企業と求職者のマッチングを目的としたキャリアアドバイザーであれば、仕事と営業を兼ねているため、上記のことがあてはまる場合があるかもしれません。しかし、JCDA(日本キャリア開発協会)の定義するキャリアカウンセリングの定義は、以下となっています。

キャリアカウンセリングの定義

発達的視点に立って、成長と適応という個人の積極的側面に強調点をおき、環境の中で効果的かつ自律的に機能できるように支援すること。自己概念の開発を通して、個人のキャリア形成を図ること。

(参考:JCDAのキャリアカウンセリングの定義)

つまり、キャリアコンサルタントは相談相手(=クライアント)には「現状を打破する力がある。」「成長・適応する力が必ず備わっている。」といった発達的視点に立って。相手の良いところを認め、照らしながら、(個人の積極的側面に強調点をおき)、心の底から相手の成長を信じて向き合う必要があります。また、最終的にはクライアントが自力で前を向いてしっかり歩いていけるように(効果的かつ自律的に機能出来るように)なるよう支援します。

その際、自己概念の開発(クライアントが持っている、私とはこんな人間だという枠組み)に焦点をあて、個人のキャリア形成を図ります。(私とはこんな人間だ。と考えるに至った経験を因数分解していきます。)

いま「な~んだ、そんなの簡単!私、人の話をきくの好きだから大丈夫!」と思ったあなた!ここで意地悪問題をだしますよ~。以下の会話のパターン1とパターン2。しっかりと「傾聴」できているのは1・2のパターンどちらでしょうか。

パターン1

【キャリコン:Aさん】【クライアント:Bさん】

A:こんにちは、キャリコンAです。今日はどんなご用件で?

B:実は、先月。40年勤めた会社を定年で退職することになりました。

A:40年も勤めたのですか!?それはすごいですね!

B:そうなんです。

A:それで、これからはどうされる予定ですか?

B:それなんです、それで困っていて。何もやる気が起きなくてつらいんです。

A:そうなんですね、それではどうすればやる気が起きるのか一緒に考えてみましょう!ちなみに私が、なんとなくやる気出ないなあ、なんてときは。何にも考えないでリラックスするようにしているんです。やる気が出ないときは、無理にやる気を出そうとしない方がいいと思うんですよね。

B:なるほど、やってみます。

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パターン2

【キャリコン:Aさん】【クライアント:Bさん】

A:こんにちは、キャリコンAです。今日はどんなご用件で?

B:実は、先月。40年勤めた会社を定年で退職することになりました。

A:そうなんですね、40年勤めた会社を定年で退職することになったのですね。

B:はい。

A:もう少し詳しくお話いただけますか?

B:はい。実は、退社してから、何もやる気が起きなくてつらいんです。

A:退社してから何もやる気が起きない。そうなると、もう1か月おつらいという状況にあるのですね。

B:はい。なんだか、とても手持無沙汰で・・・。このまま、何にもしない毎日が続くと思うと憂鬱で。

[全ての答えはその人自身にしかない。キャリコンは、相手の話を聞くしかできない。]

この1と2の違い、わかりましたでしょうか。どちらも同じ「実は退社してから何もやる気が起きなくてつらいんです。」という悩みを話してくれています。しかし、この場合の正解であるNG回答は「パターン1」ですが、なぜ、NGになるのかを説明しますね。

パターン1

【キャリコン:Aさん】【クライアント:Bさん】

A:こんにちは、キャリコンAです。今日はどんなご用件で?

B:実は、先月40年勤めた会社を定年で退職することになりました。

A:①40年も勤めたのですか!?②それはすごいですね! 

NGポイント①Bさんにとって、この40年が長かったのか短かったのかは、Bさんに聞いてみなければわからないこと。決めつけてしまうのはNGです。

NGポイント②⇒それはすごいですね!というのは、Aさんの価値観で相手を評価していまっているためNG。これは、「傾聴」にはなりません。

B:はあ、そうなんです。

A:それで、これからはどうされる予定ですか?

⇒Bさんの気持ちを受け止めず、Aさんの聞きたいことを聞いている質問なのでNG!これは、「コンサルタント中心の質問」と呼ばれ、Bさんの気持ちに寄り添えていないという判断になります。

B:それなんです、それで困っていて。何もやる気が起きなくてつらいんです。

A:そうなんですね、それではどうすればやる気が起きるのか一緒に考えてみましょう!私がやる気がない時は~・・。

⇒Bさんの「つらい」という気持ちを受け止めず、Bさんが望んでいるかわからないまま「やる気がどうすれば起きるのか。」を話はじめてしまいました・・・。Aさんの、「やる気が出ないときは何も考えず~」というアドバイスも、Bさんにとっては、腑に落ちないものになってそうです。

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反対に、「傾聴」に沿って話を聞いて行くパターンです。

パターン2

【キャリコン:Aさん】【クライアント:Bさん】

A:こんにちは、キャリコンAです。今日はどんなご用件で?

B:実は、先月。40年勤めた会社を定年で退職することになりました。

A:そうなんですね、40年勤めた会社を定年で退職することになったのですね。

⇒Bさんの言葉をありのままに受け止めています。ここに、相手を評価する意図はありません。

B:はい。

A:もう少し詳しくお話いただけますか?

B:はい。実は、退社してから、何もやる気が起きなくてつらいんです。

A:退社してから何もやる気が起きない。そうなると、もう1か月おつらいという状況にあるのですね。

⇒先月やめてから、やる気が起きずにつらい。という気持ちをそのまま受け止めています。この後、Bさんが、具体的に「辛い」と思っているのはどんな点なのかについてじっくり掘り下げることで、今後の方針が何かが見えてくるかもしれません。

Bさんの話を聞いていく事で、もしかしたらBさんはこんな気持ちなのかしら?と言う「見立て」を立てることは可能なのですが、見立てにはキャリアコンサルタント自身の価値観も現れます。

Bさんの気持ちは、Bさんの口から出てくるまでは私たちにはわかりません。もしかしたら、定年退社したことで、社会に居場所をなくしたような気がして「つらい」と感じているのかもしれません。もしかしたら、退社後あまり人と関わらなくなったことが寂しく、「つらい」と感じているのかもしれません。他に、もしBさんが「仕事をしていないことは、良くないことである。」という価値観を持っていたとしたら、仕事を辞めたことそれ自体を苦しく思っている可能性もあります。

それらは、すべてBさんの発する表情や、言葉、態度から、あくまでキャリアコンサルタントの価値観は切り離したところで見つめる必要があります。

それが、その人自身を見つめることになるからです。

[人は、ひとの話を聞いている様で。案外、自分自身の「こうあるべき」という考え方を押し付けがちなのかもしれない。】

人は、ふか~く落ち込んでいるときでも。本当は、自分の中で「どうしたらいいのか。」「どうしたいのか。」という答えを持っているものです。しかし、何かしらの理由が邪魔をして、自力でその結論にたどり着けていないという可能性があります。

そのため、キャリコンは「その人の意見を聞いて、望まれている意見」をアドバイスすることが求められます。

ある日、次々と会社の問題を解決して重役にたどり着いたと言うクラスメイトの方がこう嘆いていました。

「あぁ〜!!ダメだ!相談を聞いていると、ついつい問題を解決したくなっちゃう!だって、仕事を辞めたい?上司がひどい?イヤイヤまず我慢が足りないでしょ?それに、どうしてもダメなら異動届を人事に相談するしかないでしょ。それがいい!そうしなさい!ってなっちゃうでしょ?!あ〜!僕にはコンサルタントは向いてない!!」

[まとめ!素敵なキャリコンへのスモールステップは、身の回りの人の話をきくことから。】

確かに、自身の経験を振り返るとこういった事は、よくある事です。「仕事を辞めたい!」と思っているとき、よし、すぐに転職だ!と、決められるCさんがいれば。仕事を辞めたくて、もやもやしていてどうすればわからないと言うDさんもいる。

そんな時、自分の話に耳を傾け、紐解き、受け入れ、前に進むことを信じてくれる人がいたら、それはとても心強いものです。

人間は自分自身で下した決断でない限りは、どんなに人に言われても行動出来ないのです。

まずは身の回りの人の話を日々聞くところから!スモールステップを重ねていけたらと思います。

Maho.M

 


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